「技術雑誌 電子復刻」、期待しています。現在、書籍、雑誌、新聞はすべてコンピュータを使って編集・作成されており、ほとんど同時に電子的に配信可能です。おかげで、わずかなサブスク(定額料金)で数百冊の雑誌、新聞を画面上で読むことができます。紙面の拡大も自由自在なので高齢者にとってこそ、ありがたいサービスです。また、私の場合、手元のタブレットには青空文庫の1万冊を超えるデジタル化された本のすべてが蔵書されており、いつでも、どこでも読むことができます。ボランティアのみなさんのおかげです。
今回の情報技術関連雑誌の復刻、変化の激しいITの分野で過去の技術の情報がどれほど必要とされるのでしょうか?いまが分かればよい、と思う方も多いと思います。かつて「80年代の人気PC、コモドールPETのメモリ拡張のため、8KB を数万円で購入した思い」からすると、苦い思い出だけかもしれません。しかし、過去を振り返ることの重要性も忘れてはなりません。
1888年に電話の発明家、グラハム・ベルもかかわって創刊されたNational Geographic誌、この140年近い雑誌のすべてがアーカイブされ、雑誌の定期購読者にとって、わずかな追加費用を払うだけで画面上ですべてのページを検索機能を含めて画面上で読むことができます。その凄さ、素晴らしさは実際に試用してみないとわからないかもしれませんが、著作権者に対する権利処理の困難さを考えると、特定の雑誌などにおいてのみ、可能なのかな、と思っていました。
今回、イースト社を中心として、多くのコンピュータやパソコン雑誌を電子復刻する壮大なプロジェクトを始めるということで、そのために必要とされる権利処理の困難さを思い浮かべながら、「ご苦労様です、ぜひ、よろしくお願いします」という、お願いの気持ちを強く感じます。
今回、最初のターゲットとして、「bit」の電子復刻から始めるということですが、「bit」には私も長期間の連載を続けたことがあり、断捨離の過程で保存しておいたページをすべて処分しました。そのおり、ページをスキャンしてPDF形式で保存し、たまに開いたりしていましたが、今回のプロジェクトによって、ほかの人の目にも触れる機会を与えてもらえるというのは、これだけでも素晴らしい企画だと思います。
インターネットの遊び方と ニューラルコンピューティングの遊び方 の連載をしました。復刻版、期待しています。